天敵
冬期限定の天敵がいる。ヒヨドリだ。
秋になると大挙して自宅近くの公園にやってくる。住宅街では食べ物が少ないのか、我が家のベランダ菜園は格好のエサ場になるようだ。
一番やられたのは、スティックブロッコリー。葉っぱの先はことごとくむしられ、葉は、まるで刈り込んだようになった。めげずに伸びるブロッコリーを生かさず殺さず、新しい葉も、もれなく半分ずつむしっていく。相当、マメに通ってくるのだろう。しまいには、鳥が止まる重さで、ブロッコリーが傾いてしまった。
ある休日、のんびりコーヒーを飲んでいたら、ベランダに鳥影。二羽が一本ずつブロッコリーに器用に止まって、むしるむしる。部屋の中で、思わず声を上げたら、目が合って(?)飛び去った。
しばらくして、懲りずにまたやってきたところを追い払う。
「なあ、美味しいもん食いに行こうや。ええとこ、しっとんで。」
「まあ、ステキ」
(ヒヨドリ会話再現)
うちは、デートスポットか!
そんなに怒るなら、鳥よけネットでもしたらよいだろう、というのは全くそのとおり。実際、実家では虫がいなくなっても寒冷沙をかけているのだ。
この違いは、実家の方のヒヨドリ達と、自宅周辺のヒヨドリ達の行動の違いによる。実家のヒヨドリ達は、容赦ないのだ。生かさず殺さず、ではない。襲撃にきたら、太い軸以外は何も残らない。まさに、ツンツルてん。
ちなみに、無農薬でない畑のブロッコリーは襲撃されないようなのだ。実家のご近所でも、「収穫前を避ければ、最初のうちは少しぐらい薬使って大丈夫だよ。化成肥料も、大きくなるしね」と言って、薬を使っている家が多い。これをヒヨドリ達は食べに行かないようなのだ。
人にはわからない匂いでわかるのか。。そうだとすると、それはそれで何か考えさせられるものがある。
話を戻すと、自宅については、この「生かさず殺さず」のお陰(?)で、スティックブロッコリーはそれなりに何度も収穫できた。なので、年末に抜いてしまうまで、ヒヨドリのおやつになることを事実上黙認してきたのだった。
一方、同じ自宅のベランダ野菜でも、レタスはひどくやられた。種を蒔いて5センチぐらいに伸び、混んできたなあ、と思っている時のこと。ある夜、帰ってきたら、地上にはわずかに軸の残骸があるばかりで、葉っぱに該当する部分は、何もなくなっていた。
衝撃のあまり、そのままベランダの片隅に一月程、放っておいた。
そしたら、健気に新芽が出てきたのだ。勝手なもので生き延びそうな気配を見てて、急遽、ビニールハウスに。それから2週間経った姿がこんな感じ。